■ 国際通商環境
中国―カナダ間における菜種・菜種粕を巡る政策動向
公開情報に基づくと、中国は2025年3月以降、カナダ産菜種油・菜種粕等に対して追加的な通商措置を講じました。
さらに同年8月には、菜種種子に対して暫定的な反ダンピング関税(約75.8%)を適用するなど、当該分野における輸入環境は大きく制限されてきました。
その後、2026年1月に行われた両国間の通商協議を経て、カナダ産菜種種子については2026年3月1日までに総合関税率を約15%水準へ調整する方向性が示されました。
また菜種粕を含む一部農産品についても、差別的な追加関税措置を当面実施しない方針が確認されています。
これにより、2026年春以降、カナダ産菜種および菜種粕が中国市場へ再び供給される環境が整いつつあり、中国国内の原料供給構造および価格形成に一定の影響を及ぼす可能性があると考えられます。
■ 中国国内における菜種粕の用途構造
中国国内において、いわゆる「双低」菜種粕の主な用途は水産養殖および飼料分野です。
市場に流通している製品の多くは、効率性と量産性を重視した浸出法によって製造されています。
今後、関税環境の変化により価格競争を中心とした市場環境が一層変化していく可能性があります。
一方で、圧搾製法による非遺伝子組換え菜種油粕のように、生産規模が限定的で用途が明確な原料については、異なる文脈で評価される余地があると認識しています。
■ 四川地域における原料供給の現状
四川地域は、中国における主要な菜種産地の一つであり、地域によっては伝統的に圧搾製法が用いられてきた背景があります。
一方で、現在市場に流通している菜種粕の多くは工業化された浸出法由来の製品であり、
圧搾製法による非遺伝子組換え菜種油粕を品質および数量の両面で安定的に供給できる事業者は限定的という状況が見られます。
■ 日本市場における菜種粕の基本的な位置付け
日本国内において菜種粕は、飼料用途のほか、肥料・土壌改良資材として利用されています。
日本は菜種粕の多くを輸入原料に依存しており、用途によって原料に求められる評価軸は異なります。
特に有機肥料用途においては、
・非遺伝子組換えであること
・製造工程の透明性
・原料のトレーサビリティ
などが重視される傾向があります。
このため、圧搾製法・非遺伝子組換えの菜種油粕は、一般的な原料とは異なる位置付けで整理されるケースが見られます。
■ 日本国内の伝統的な菜種油・菜種油粕生産
日本国内には、長年にわたり非遺伝子組換え菜種を用い、圧搾製法という手間と時間を要する製法を守り続けてきた歴史ある菜種油・菜種油粕の生産者が存在します。
平田産業、太田油脂、米澤製油をはじめとする事業者は、日本における菜種油および圧搾菜種油粕の製造を長年にわたり継続し、農業、地域循環、原料文化を支えてきた重要な担い手であると認識しています。
当社は、こうした日本国内の取り組みに対し深い敬意を表するとともに、その姿勢から学ぶべき点が多いと考えています。
■ 日本の有機農業と当社の今後の視点
― 日本の取り組みに学びながら ―
日本の有機農業は、生産現場、認証制度、研究・普及活動が長年にわたり積み重ねられてきた結果、有機JAS制度を軸とする透明性の高い枠組みが形成されていると理解しています。
当社が検討している四川地域由来の圧搾菜種油粕についても、こうした日本の有機農業の歩みや考え方を十分に尊重した上で、その中でどのような関わり方が適切であるのかを慎重に検討している段階です。
当社としては、日本の有機農業の価値や体系を前提とせずに先行して結論や方向性を定めることは適切ではないと考えています。
そのため、量的な拡大や短期的な取引を目的とするのではなく、限られた用途や条件の中で「一つの選択肢としてどのような役割があり得るのか」という視点から検討を進めていきたいと考えています。
今後も、日本の有機農業に関わる生産者、団体、制度から学ぶ姿勢を大切にしながら、有機JAS制度をはじめとする日本の制度・市場環境に沿った形で、慎重かつ誠実に向き合ってまいります。
※ 本ページは、当社の現時点における考え方を整理したものであり、特定の製品・取引条件を示すものではありません。